篠笛の選び方と使い分け 

篠笛の選び方と使い分け【その2】   篠笛演奏における移調について   五線譜から篠笛譜に落とす方法   篠笛演奏における息コントロールについて   篠笛の上達方法

篠笛の選び方と使い分け【その1】
 
 このサイトは、これから篠笛を始めようとする方のために、篠笛の種類と選び方、使い分けのポイントを解説したものです。
 特に、篠笛はどの調子(一~十二本調子)であっても共通の楽譜、運指を用いる移調楽器であるにもかかわらず、リコーダーと同じ感覚で「○本調子用の楽譜、教本を教えてください。」とか「この動画の曲を演奏するには何本調子が必要ですか?」といった篠笛に対する誤解をお持ちの方が多く見受けられることから、篠笛の基本について詳しく解説を加えました。
 多少なりともご参考になれば幸いです。
  • 篠笛の種類
Q.囃子用と唄用、6孔と7孔の違いは何でしょうか? 
  • 囃子用(古典調)
 主に祭囃子・神楽・獅子舞等の郷土芸能に昔から用いられてきた横笛で、指穴の大きさと間隔がほぼ均等になっています。このため、ドレミ西洋音階の曲の演奏には向きません。知恵袋では、「○○地方の囃子用篠笛は、何本調子を購入すればよいでしょうか?」といった質問がよく寄せられることがありますが、知恵袋で地方の笛に関して的確な回答が得られる可能性はほぼゼロです。地方の囃子用篠笛のことなら、そこで篠笛を吹いている笛方に直接尋ねる以外の解決策はありません。
 もともと地方の祭用に用いられてきた横笛というものは、村の笛方が自作によりおおよその寸法を合わせて作ったものが伝承されてきたものですので、統一した規格というものは存在せず、同じ六本調子の笛といっても、地域や作者によって半音程度の音程の相違があります。このため、囃子用篠笛を購入するにあたっては、何本調子かの情報だけでは足りません。通信販売の既製品では合わないことも多く、自分の地域で使われている笛の指穴間隔等をよく調べてから、商品の寸法と比べたうえで(又は何処の○○囃子用等を指定して)注文する必要があります。オーダーメイドでの製作注文に応じてくれる笛工房もあります。
 

  • 唄用、ドレミ調
 長唄や民謡を奏でるために指穴の大きさや間隔を変えて(ミとファ間、シとド間を半音に)調律した篠笛を唄用といいます。近年では、更に西洋音階による合奏も可能となるよう、チューナによって厳密に調律(A=442Hz)した、ドレミ調のものが多くなっています。(販売店によっては、前者を「唄用」、後者を「ドレミ調」と区別している場合と、後者も含めて「唄用」と呼ぶ場合もあります)。 


 長唄や三味線に合わせて演奏される方なら、師匠に付いて習われていると思いますので、ここであえて解説する必要はないと思います。趣味で篠笛を始めたいという方が対象とするのは、一般には唄用篠笛だと思います。このため、以降の記載では、唄用(ドレミ調)篠笛で主に日本の唱歌やJ-POPを独奏で演奏してみたいという方を対象として解説します。唄用の場合は、囃子用とは違って音高が規格化されていますので、同じ調子であれば全国どこでも、通信販売で購入しても音程的な違いはないはずです(ピッチの正確さには差がありますが)。具体的な購入に当たっての留意事項は、篠笛の選び方と使い分け【その2】をご参照ください。
 
  • 6孔と7孔
 篠笛には指穴の数が6孔のものと7孔のものがありますが、一般的に唄用として流通している篠笛は7孔が主流です。また、篠笛譜では、シ♭の運指に7番目の指穴が必要な「0」ポジションを使っていることや大甲音の運指を考えると、7孔唄用を選ばれるのが無難といえます。
 ただ、ドレミ音階を演奏するという観点からは6孔あれば足りるため、世界の竹製フルート(インドのバンスリ、南米のフラウタ等)は6孔が主流ですので、篠笛にこだわらずに竹製のドレミ横笛を求められるのであれば、どちらでもかまわないでしょう。 

  • 篠笛の調子
Q.篠笛にはいろいろな調子のものがありますが、どう違うのでしょうか?
 
 篠笛は、もともとは長唄の伴奏において、唄い手のピッチに合わせて四本調子~七本調子程度の音域を中心に使われてきましたが、現在の唄用篠笛では西洋音階の12平均律に則った半音区切りで、最も低音で長い一本調子(Fキー)から、最も高音で短い十二本調子(Eキー)まで揃っています(一部には十三本調子というのもあるみたいです)。調子の数字が一つ小さくなるに従い半音ずつキーが低くなり、長さは長くなります。当然ながら価格も調子の数字が小さい(長い)ほど高価となります。


 篠笛など管楽器の原理である共鳴筒の長さLは、共鳴振動の波長λに依存します。式で表すと、波長λ=V/f(V:音速一定、f:振動数)より、笛の長さLは音高(振動数f)に反比例することになります。唄用篠笛は1オクターブ(振動数2倍)を12等分した平均律に則って作られていますので、調子が1つ小さくなる毎に笛の長さL(歌口~管尻)は、理論値で1/12 ≒約1.06倍ずつ指数関数曲線に沿って長くなります(実際は開口端補正のバイアス分ずれます)。これより、十三本調子と一本調子は丁度1オクターブの差となります。   

 なお、7孔篠笛の場合は、下の図のように6つの指孔を押さえたときの音高(Key)を基音として示されます。


 
初心者は、どの調子の笛を選べばよいのでしょうか? 

 12種類もあると、初心者の方は、どれを選んでよいのかとか、複数本持たないといけないのかと悩んでしまいますよね。でも、趣味で篠笛を始めようとする方なら、あまり悩んで選ぶ必要はありません。後述するように、
独奏するだけであれば、曲に応じた調子を選ぶ必要はなく、いずれかの調子の笛が1本だけあれば、どの篠笛譜であっても同じように演奏することができます。
 一般的に最も多く使用されているのは六本調子、七本調子、八本調子です。初心者は最も指穴が押さえ易く、音も出し易くて篠笛らしい響きのする六本調子か七本調子から始められる方が多いようです。
 最近は、ピアノ等の西洋楽器と合奏する場合に有利などといってC調の八本調子を薦める人が見うけられますが、その論旨には何の意味もありません。
八本調子が西洋楽器と合いやすいというのは、オリジナルがハ長調(ピアノの白鍵のみ使用)の曲に限った話であって、他の調の曲では違う調子の笛の方が合わせ易いのです。後述するように、唄用篠笛は西洋楽器と合わせるものではなく自分の一番気に入った音色の調子を選ぶのが基本だと思います。むしろ八本調子は管径や孔が小さく、細くて鋭い息が要求されるので、初心者が始めるには少し鳴らしにくいかもしれません。
  
  • 篠笛の運指
Q.調子によって運指は変わりますか?

 
いいえ、篠笛はどの調子であっても同じ運指となります。
 下の図にあるように、どの調子であっても全音と半音が同じ相対配置となるように作られているため、指孔6つを塞いだポジションを、どの調子でも[
]の運指で読むことにより、同じ篠笛譜を同じ運指で演奏できます。
 

 つまり、「○本調子用の楽譜」というものは存在せず、すべての調子について下図に示す共通の篠笛譜(数字譜)を同じ運指で演奏することになります。
 五線譜で読む場合でも、 [ド]の音符をすべて[
]のポジションに対応させて読みますので、どの調子であっても運指は変わりません(ここでいうドレミは絶対音高ではなく相対音高になります)。 


 このように、どの調子の笛であっても同じ運指で演奏できるので、「この動画の曲を演奏するには何本調子の笛が必要ですか?」とか、「自分は七本調子の篠笛しか持ってないんですけど…」といった質問には意味がなく、普通に趣味で篠笛を演奏するのであれば、いずれかの調子の笛を1本だけ持っていればよいということです。
 複数の調子の笛を持っている場合は、同じ曲を同じ運指で「昨日は七本調子で吹いたけど、今日は気分を変えて五本調子で吹こう」でいいのであって、それが篠笛の楽しみ方の一つでもあるのです(絶対音感があって、「絶対音高が変わるのが気持ち悪い」という方は別ですが)。   
  • 【演奏上の運指】-そもそも篠笛とリコーダーとでは楽譜の読み方が異なる
 リコーダーで五線譜上の「ド」のポジションを押さえる場合、ソプラノリコーダーならすべての指孔を塞ぐのに対し、アルトリコーダーでは左手だけ全て塞いで右手は全開放する運指となります。このようにして、(ラ(A)の音であれば442Hzの高さとなるように)実際の音高を重視することにより、五線譜の読み方を楽器によって変えるものを「実音楽器」といいます。
 

 一方、篠笛のように高さの異なる笛を全て同じ指使いで演奏することにより、五線譜に記されている音(記音)と、その楽器が実際に出す音高(実音)が都度変わってくる楽器を「移調楽器」といいます。全体的な音高(Key)は調子によって異なりますが、移動ド奏法により同じ音符(数字譜)を同じ指使いで演奏できますので、どの調子の笛も統一的に前述の図の運指を用います。ここが、リコーダーと違うということを認識する必要があります。


 学校教育ではリコーダーによる実音楽器で教え込むので、篠笛も調子ごとに楽譜が異なると思っている人が非常に多いようです。最近の学習指導要領には和楽器を用いた学習がうたわれているようですが、おそらく指導する先生がリコーダーと篠笛を同じ実音楽器の扱いで教えている可能性があります。

【参考】「移動ド」とは
 曲の調によって「ド」(篠笛の数字譜の「
」ポジション)を移動して読む方法を「移動ド」といいます。


 フルートのような半音キーがない篠笛は、この移動ド法を用いることによって、半音記号の多い調の曲であっても上述の基本運指でドレミが演奏可能となります。この場合、ドの音高が笛によって違ってしまいますが篠笛では許容するのが基本です。西洋楽器と合わせたい場合は、一~十二本調子のいずれかに持ち替える必要があります。移動ド法による篠笛の数字譜への変換は下のページをご参照ください。
【五線譜から篠笛譜(数字譜)に落とす方法】

【参考】篠笛の運指とピアノ音階との対応図

 下の図は、八本調子、六本調子、三本調子の運指と絶対音高の関係を示したものです。ピアノと合奏する場合や篠笛を実音楽器として扱う場合は意味がありますが、移調楽器として普通に篠笛として演奏する場合は全く意識する必要のない図です。


【参考】調子を西洋楽器の長音階に対応させた場合の表

 各調子の笛を前述の基本運指図で演奏した場合の西洋楽器のメジャースケールへの対応は下の表になります。八本調子の場合はハ長調、一本調子の場合はへ長調、三本調子の場合はト長調となります。例えば、手元にト長調(#1つ)の楽譜があって、これを上の基本運指で(ハ長調に移調して)演奏する場合は、三本調子を用いると西洋楽器の音程と合うということを示しています。
 
しかし、この表だけ見て、「ハ長調の曲を演奏するには八本調子、ト長調の曲を演奏するには三本調子の篠笛で吹かないといけないの?」と勘違いしている人がたくさんいます。前述したように、普通に篠笛演奏を楽しむには全く考慮する必要のない表です。 カラオケマシーンで、オリジナルのKeyでは歌いにくい場合に、キーコントロール機能を使って、自分の歌いやすいKeyに調整しますよね。それと同じで、自分の感性に最も合った調子の笛を1本だけ持っていればいいのです。
 

Q.八本調子はピアノ等と合せやすいと聞いたのですが


 そう言われているのは、単に前述した基本運指で吹くとピアノの白鍵の音と合うというだけのことに過ぎません。実際に演奏する曲は黒鍵の音も使った様々な調があり、八本調子が合うのは、オリジナルがピアノの白鍵しか使わない曲(ハ長調)を、ピアノも篠笛もそのままハ長調楽譜で演奏できるシチュエーションに限った話であって、一般的に言えることではありません。

 ここで認識してほしいのは、篠笛はフルートのような半音キーが付いていないため、ハ長調以外の曲(頭に♯、♭の半音記号が付く曲)を演奏する場合は、指孔半開等のテクニックを駆使する必要があるということです。

 
 このため、半音記号が多い調の場合はオリジナルのKeyのままでは演奏が困難なことから、下のページで示すように篠笛で演奏しやすい調に移調して演奏するのが一般的です(例えば、イ長調の曲をハ長調に移調すると、全体の音が半音3つ分高くなってしまいます)。
【篠笛演奏における移調について】

 「そんなに半音記号が多い楽譜なんて見たことない。だって手元にある篠笛譜は、せいぜい♭が1つあるぐらいだし…。」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、市販されている篠笛楽譜は、演奏しやすいように半音記号が少ない調(ハ長調、へ長調、ト長調)に移調された後のものとなっています。すなわち、その時点ですでにオリジナルの曲のKeyから外れたものとなってしまっているのです。この移調された篠笛譜を八本調子で吹いても、オリジナルのKeyで演奏するピアノやカラオケとは合わないということです。

 例えば、「もののけ姫」のオリジナルのKeyはハ短調(♭三つ)ですが、篠笛譜では演奏し易いようにニ短調(♭一つ)に移調されているのが一般的です。これを八本調子で演奏するとピアノ伴奏より半音二つ分高くなってしまいますので、元の高さに戻すには二つ低い六本調子が必要となります。すなわち、「もののけ姫」の演奏においては、六本調子が最も西洋楽器に合わせやすいということになります。
 

 このように移調後においてもオリジナルのKeyに合わせなければならない場合は、↓の表に示す調子を選択することになります。上の「もののけ姫」の例では、六本調子が合うことがこの表から分かります。



 しかし、すべての曲をオリジナルのKeyに合わせるとなると、一本調子~十二本調子すべてを揃えないといけないことになってしまいます。篠笛は移調楽器だと割り切って、お手持ちの調子の笛でどのKeyの曲でも気にせずに演奏すればよいと思います。プロの和楽器バンドの篠笛奏者の場合なら、12種類の異なる調子を揃えることで、どの調の曲でも演奏できるようにしているかもしれませんけど(実際には3~4本あれば全ての調がカバーできます。「篠笛演奏における移調について」参照)。 

 手持ちの調子の笛を伴奏付きで演奏したい場合やJ-POPの篠笛演奏を披露したい場合等、ピアノやカラオケの伴奏付きで演奏したくなる場合があります。しかし、例えば六本調子で下のハ長調楽譜を篠笛運指で演奏すると、実際に鳴る音程は変ロ長調となるので、伴奏と合わなくなります。この場合は、ピアノ伴奏の方を変ロ長調楽譜に移調して演奏してもらえば簡単に合わせることができます。篠笛奏者はハ長調楽譜、ピアノ奏者は変ロ長調楽譜の二種類の楽譜を用いる必要が生じますが、ピアノ奏者にとっては半音記号がいくら多い曲でも難なくに対応できます。MIDI伴奏であれば、もっと簡単に任意の調にトランスポーズ(移調)できますので、何本調子であっても合わせることができます。もし、オリジナルが変ロ長調の曲だったら、ピアノ伴奏譜はそのままで六本調子篠笛だけハ長調に移調すればよいということになります。

 

 西洋楽器との合奏が目的なら、頭部管の抜き差しでピッチの微調整が可能で、かつ12平均律音階全てに対応できる半音キーが付いたフルートやピッコロを選べばいいのであって、わざわざ半音のピッチ合わせが不安定な篠笛を、西洋楽器との合奏を目的とした楽器として選択しなくてもいいと思います(複数本揃えてセッションする目的であれば、クリスタルフルートがお手頃価格で西洋楽器に似合うのでお薦めです)。篠笛は、やはり和楽器バンドのような和楽器同士のセッションが似合うと思います。

 篠笛の楽しみ方は個人個人により千差万別です。私は、和楽器としての篠笛らしい響きを第一に選ぶ派ですので、篠笛らしい響きと演奏のし易さとのバランスが良い六本調子を中心に演奏しています(例えば大甲音の音域に亘る曲の場合、八本調子では人間が心地よいと感じる音域から外れますので、ある程度の(力まずになめらかな大甲音が出せる)技量がなければ聴き手に不快感を与えかねません)。

 篠笛の調子を人間の歌声の音域に対応させると、以下のようになるそうです。
 ・八本調子:小学生の低学年から幼稚園児の歌声
 ・七本調子:小学生の高学年の歌声
 ・六本調子:大人の女性の歌声
 ・四本調子:大人の男性の歌声
 これより、六本調子が最も好まれ、普及しているのが納得できます(実際の篠笛の周波数は、ト音記号で示される音符より1オクターブ高い音が出ます)。篠笛の人間国宝、寶山左衛門(四世)氏も「女性の方がうたうときは六笨調子くらいの笛を、男性の方がうたうときは四笨調子くらいの笛を使います」と述べられています。 

 ただし、初心者の方は、四本調子より長い篠笛だと指孔を完全に押さえるのが難しいので最初は避けた方が良いでしょう。初心者が篠笛をきれいに鳴らせない原因として、指穴を完全に塞ぎきれていない(わずかな隙間が音を濁らす)例が多く見られますので、笛の大きさは篠笛選びの大きなポイントとなります。手の大きさからは、一般には大人の男性は六本調子、大人の女性は7本調子、小学生は八本調子が押さえ易いと言われています。大人の男性は八本調子は少し窮屈な感じとなります。
 慣れてくれば、長い笛でもしっかり指穴を塞ぐことができるようになります。

Q.西洋楽器経験者が篠笛を始める際の留意点は?
  • フルート、ピッコロ、ソプラノリコーダー経験者の場合
 ソプラノリコーダー(ジャーマン式)やフルート経験者が篠笛を始めようとする場合、短絡的に同じCキーである八本調子が最も指使いが近いと勘違いしている方がいます。しかし、下の図のように、リコーダとは異なり篠笛の基音は薬指で押さえたポジションとなるため、運指が最も近い調子は十本調子(Dキー)となるのです(ただし固定ドの場合の議論。移動ドでは関係ありません。なお、ニ長調の運指が基本となるので、ハ長調の楽譜ではドとファが半開となります)。
 

 例えば、フルート経験者が「ソ」の音符を見たら、条件反射的に左手3つを閉じた運指をしてしまうでしょう。これでは、前述した篠笛の運指から1つずれてしまって混乱しますよね。
 このため、ソプラノリコーダー(ジャーマン式)やフルート、ピッコロ経験者が篠笛を始めようとする場合は、下図のようなニ長調運指とした方が混乱が少なくて済みます。なお、ハ長調の楽譜のままではドとファが半開となるので、ニ長調に移調すれば運指が楽になります。
 もしくは、西洋楽器には五線譜、篠笛には数字譜と使い分けた方がいいかもしれません。


  ただし、これらの西洋楽器経験者に十本調子篠笛を薦めている訳では決してありません。十本調子は、篠笛らしいしっとりした響きとは縁遠い高音域の笛なので、西洋楽器と合奏するときなど特殊な場合だけしか使われません。演奏しやすいようにニ長調に移調して、移動ドにより上図の運指で自分の好きな響きの調子の篠笛を選べばいいと思います。 なお、ベーム式以前のフルートの場合は、篠笛と同じ運指となります。下のページをご参照ください。
【篠笛とリコーダー・フルートの運指の違いについて】
  • アルトリコーダー、ケーナ経験者や西洋楽器とのセッションの場合には三本調子がお薦め
 F管のアルトリコーダーの経験者なら、左手の3つの穴を塞いだ「四」の運指が「ド」となるト長調の楽譜が演奏し易いでしょう。篠笛で合奏するなら基音がずれるので三本調子(Gキー)となります。ケーナ経験者の場合は、裏穴の有無が違うだけで基音は三本調子篠笛と同じG管となりますので、ケーナ楽譜がそのまま読めます。

 世界中にある6孔バンブーフルートでは、一般にG管が好んで用いられているようです。G管はト長調が最も演奏しやすい調ですが、半音一つだけでハ長調にも対応し易い笛です。三本調子篠笛は指孔間隔が広いので、初心者は最初は完全に指孔を塞ぎきれずに、音が綺麗に鳴らない場合があるかもしれませんが、慣れればスムースに運指ができるようになります。 


(上八本調子篠笛、中G管バンブーフルート、下G管ケーナ)

 ピアノ譜で篠笛を演奏したい場合に、呂音のドより低い音が出てくることがけっこうあります。この場合、全体を1オクターブ上げて演奏する方法もありますが、そうすると音域が高くなりすぎて、大甲音の聞きづらい領域での演奏になってしまいます。その際は、ト長調やヘ長調に移調することで対応します。このようにピアノ譜などを主に演奏される方なら、ハ長調の標準的な篠笛運指ではなく、ト長調の運指で覚えてしまう選択肢もアリだと思います(当然アルトリコーダやケーナをやってる人は断然有利)。ト長調運指の利点は、ドより低い音があっても元の楽譜のまま演奏できることです。この場合、三本調子ならピアノ音階にそのまま合わせられますので、西洋楽器とセッションするのであれば、八本調子よりも三本調子を揃えておくのが有利ともいえます。ただし、篠笛愛好家からすると、本来の篠笛の嗜みではなくバンブーフルートとしての使い方と思われるかもしれません。

 【その2】に続く。
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